自分を解剖する その3

母は小さい頃、確か肺の病気で入院したことがあった。
父は、会社と飲み屋を行ったりきたりしていたような人だから、わたしは母の妹の手によってある時期育てられていた。
私は、母の妹と一緒に布団に入っては、しきりに「お母さんと寝たいなあ」と言っていたそうだ。
母の見舞いだけが唯一の楽しみだった気がする。
見舞いに行って、母に会い、病室にあった白桃の桃缶を食べる。
私の原風景は、寂しさと甘さの中にある。

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