2021年1月11日月曜日

TOSSの代表が向山先生から谷先生へと交替したそうだ

私は、平成元年に大学に入学している。大学1年生の冬休みに昭和天皇が崩御された。そのニュースを、下宿のメンバーたちと見たと記憶している。それが、西暦で言うと1987年。向山洋一氏が「教育技術の法則化運動(現TOSS)」を立ち上げたのが1983年だというから、私は少し遅れたランナーということになる。大学生協の本棚には、既に法則化に関わる先生方が書かれた明治図書新書シリーズが、ずらっと並んでいた。

私は、林竹二の本を読んで教師になろうとした人間なので、そうした「技術主義」的な教育論に、書名だけ見て、当初かなり違和感を持っていた。

ところが、大学3年生になった折、A先生の講義で藤岡信勝、有田和正、野口芳宏、斎藤喜博、そして向山洋一の実践に本当の意味で出会うことになる。そして、明快さ、オルタナティブな議論にのめり込んだ。やがて、私は「授業づくりネットワーク」でお世話になる。A先生が「授業づくりネットワーク研究会(当時 教育科学研究会授業づくり部会)」の代表をされていたからだ。

私は、大学を卒業してすぐに大学の下宿友だち4人と「教育実践サークル ふろむA」を立ち上げた。ここには、最初期にSやAがいた。元々は、4人のサークルメンバーで細々とサークル通信を書いていた。このサークルの会員を拡大していく中で出会ったのがMさん、Tさん、H嶋さん、H山さん、Uさん、Kさん、Bさん(Bさんは大学の同期)などである。

このサークルは、2000年まで活動していたと記憶しているが、それまでは道東の法則化の先生方にずいぶんとお世話になった。この時代は、まだ、「ネットワーク」系、「法則化」系、「仮説実験」系のサークルのメンバーが自由に行き来していた「牧歌的な」時代だった。

ところが、2000年の解散を目前に法則化の先生方が、「2000年からは、TOSSと名前を変え、TOSSのサークルかそうでないかによって、参加するしないを決める」というようなことを言い出した。当時、私は「悲しいな、さびしいな」という思いと、「代表のたった一つの指示によって、組織が一律に前へ倣えする」という構造に恐怖を感じた。あるサークルからは、「山田先生は、TOSSですか非TOSSですか」あるいは、「先生はネットワークの先生ですか」というような直接的な問い合わせをもらった。私は、「今後とも、法則化から学びたいと考えています」と、その都度丁寧に返事をしていた。

しかし、そんなことも馬鹿らしくなり、「学びたいことを、学べないなんて、絶対おかしい!」と憤った。その憤った勢いで、「教育研修サークル 北の教育文化フェスティバル」というサークルを立ち上げた。自分の学びたいことを、学びたい方からわくわくしながら学ぶ場をつくるが、その信条だった。このときに、事務的なことを快く手伝ってくれたのが当時同僚だったKさんだった。また、K府さん、I川さんなどもサークルに参加していた。第1回の研修会は留萌振興局小平町で参加費は、当時としてはべらぼうに高かったと記憶している。講師は、野口芳宏氏、酒井臣吾氏、有田和正氏、仲田利津子氏、上條晴夫氏、大谷和明氏、堀裕嗣氏だった。北海道の地方都市で開催される研修会としては、驚きの130名の方々が集まってくださった。この時の参加者で現在サークルに参加してくださっている方は、数え切れない。また、この大規模研修会はその後も引き続き行われ、その講師の中には現在も私たちに示唆を与えて下さっている先生方も多い。

もしもである。

あのとき、法則化が法則化のままだったら。私たちを排除(いや、向こうからしたら、【離脱】は、山田の側の自由意志なのだが)しなかったら。私は、北の教育文化フェスティバルをつくらなかっただろう。


もしも、法則化の先生方がいなかったら、教育書は現場教師のほんの一握り(握りまでもいかないか)の人が書くものにとどまっていただろう。だとすれば、私のような人間が本を出版するというようなこともなかったに違いない。


法則化があってくれたおかげで、私はバトンを受け取って、今コースを走ることができている。


バトンは渡す側が渡したつもりのないような、私のようなランナーにまで、実は渡っていたのだ。


そして、私はこのバトンを手元で何本かに増やして、次のランナーに今渡そうとしている。

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